お知らせ


2011年10月28日金曜日

<ご紹介>染付波千鳥図舟形皿五客組・染付花鳥図小皿五客組・染付お銚子二客組

皆さまこんにちは。
一昨日木枯らし1号が吹いたとのこと、日に日に冬を近く感じますね。お店もいつもドアを開けているのですが、ちょっと寒く感じるようになってきました。

とうとう今月最後の更新となりました。
今月はうさぎの絵柄のなます皿や、東北の窯元のものなど、珍しいものをたくさんご紹介できたかな、と思います。
今回は個性ある染付の器をまとめてご紹介しようと思います……。

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・染付 波千鳥図舟形皿 五客組 9,000円
(明治前期) 径約22cm・高さ約4.5cm
 ※完売しました

まずは形も絵柄も可愛らしい、舟形の器のご紹介です。
お刺身や煮物など、和の味を更に引き立ててくれそうな器です。


本来波の上に船が浮かんでいるのですが、こちらは船の上に波の景色があるという……。
洒落の効いたデザインですね。


ベタ底といわれるぺたんとした、高台のないつくりです。安定感があるので、食卓にのせる時安心です。


波と波濤のしぶきでしょうか?
明治期のものらしい、すっきりした青です。


見込みはおなじみ波千鳥です。
千鳥、というよりはツバメのよう……。


鳥が飛んでゆく、動きのある様が伝わってきます。
気持ちの良い、絵本にもありそうなタッチですね。


舳先(へさき)もしっかりしています。深い、艶のある藍色が何ともいえません。
縁取りは四方襷(よもだすき)。向付の内側などにもよく用いられる文様です。


船のおしりのほう、櫂(かい)をかけるところのつもりなのでしょうか、少し切れこみを入れたようになっています。


形の変わった器はキズなどができやすいのですが、こちらは五客すべて完品の状態で出てきてくれました。可愛いながらも上品な、優しい器です。
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・染付 花鳥図小皿 五客組 4,500円 ※完売しました
(明治前期) 径約12cm・高さ約2.5cm
(※2客無傷、3客に当時の金直しあり)
お次も明治前期の頃のものです。
白磁に青のすっきりとした絵付けが清潔な印象。


絵柄はつがいの鳥。
鳳凰……にしてはやや清楚な鳥です。


オウムやインコなどの南方の鳥をイメージしているのでしょうか?
枝のまわりにも点描が使われ、丁寧な絵付けです。


こちらは飛んでいる方の鳥なのですが、尾羽根のたなびき方のバランスが良いですね。




裏側には線と、漢詩が入っています。


こちらの器のもう一つのポイントは金継ぎが入っていることです。
「金継ぎ」、「金直し」ともいうのですが、陶磁器の欠けた部分に漆をのせ、金粉を捲いてキズを補う技術を指します。割れてしまったものもこの技術で直すことができます。
漆を硬化させるのに結構時間がかかるのだとか。(程度にもよりますが、大体は1か月以上!)
金だけでなく、銀粉を使うこともあります。


よくカルチャースクールなどでも講習会をしているようです。
東急ハンズで金粉と漆チューブを買って来て、自己流でやってみることもできます。


こちらの金継ぎは金の感じからして、明治の頃なされたもののようです。
金継ぎ自体は江戸中期ごろから始まったようですが……。
五客のうち、2客は無傷ですが、3客に金継ぎが入っています。実際金継ぎのあるお品物はなかなか入荷がないので、そんな意味でも面白いかもしれません。金継ぎもキズに近い扱いなので、お値段もお手頃にしています。


絵柄の可愛さに金継ぎの面白さと、魅力のある小皿です。

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・染付 花文お銚子 二客組 13,000円 
(明治前期) 径約15cm・高さ約14.5cm
※1客無傷、1客注ぎ口に小キズあり
※完売しました


熱燗の美味しい季節になってきましたね。
お酒を一層美味しくしてくれそうなお銚子のご紹介です。


白い肌に薄い青が上品な絵付けです。


よく「お急須?」と言われるのですが、いえいえ、こちらはお酒用なのです。
お銚子は急須と違って、持ち手が直接ついていることが多いです。
さらに見分けるポイントはもうひとつ……。



蓋を開けるとわかるのですが、注ぎ口への穴が一つになっています。
急須は、お茶葉をおさえるため、複数の穴を開けるようにするのです。


ちなみに蓋の後ろには「松月亭 亀山製」とあります。
ちょっと調べてみたのですが、現存する窯元ではなさそうです。



藤の花がモチーフでしょうか?
線描きと薄いだみの色合いが素敵です。
着物姿の女性の白い手に似合いそう……?



1客は無傷なのですが、もうひとつは惜しいことに注ぎ口に少しキズがあります。
銀で継いでも綺麗に映えそうですが……。そのまま使用される分にも、問題のないキズです。


店内の他の器と組み合わせてみました。
盃は九谷焼のもの(径約4.5cm・高さ3cm、700円※完売しました)。
金彩の細密な絵付けが有名な九谷焼ですが、繊細な染付も得意とします。
木目がすっきりとした木皿は、お銚子の下に敷いていたもの(径約16cm・高さ約2cm、800円※完売しました)。パン皿にしていただいても。

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・染付 水鳥図七寸皿 1,500円 ※甘手
(江戸幕末) 径約23cm・高さ約3.5cm
※完売しました


そろそろ近くの川や池にカモたちが渡ってきている頃でしょうか?
最後にご紹介するのは、そんな水鳥たちの様子が伝わってくる一枚です。


ぱっと見たところよくわからないかもしれませんが、右上に水面に潜ろうとしているカモのお尻があります。
左下には頭を羽根の間にうずめている全身(?)が。


こちらがお尻ですね。これをあえてお皿に描こうとした職人さんはなかなかチャレンジャーだったのでは?


カモたちは首を羽根の間にうずめて眠ります。ふっくらした羽根の暖かさが伝わってきそうです。
羽根の感じからすると、オシドリなのでしょうか?


こちらのお皿、甘手(焼くときの温度が上がりきらず、甘く焼けてしまったもの)で表面に貫入が入っています。
こんな絵柄だと、かえって味があって面白いかも?

 

裏側には4つ、目あと(窯で底がつかないように小石などを敷いたあと)がついています。

大きさ、深さもあるので色んなお料理に使って頂けます。
タイカレーなどエスニックなお料理をのせると、意外性があって良いかもしれません。

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以上、お品物のご紹介でした。

次の更新は11月1日を予定しております。
実はまだ詳細は秘密ですが、来月、吉祥寺PukuPukuから耳寄りなお知らせがございます……。お楽しみに!次回もまた、面白い器たちをご紹介できれば、と思っております。

急な寒さで体調など崩しやすい頃かと思います。皆さまどうぞお体に気をつけて。

2011年10月25日火曜日

<お知らせ>吉祥寺PukuPukuの器を使った本が出版されました!


晴れの日差しが気持ち良い今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
最近近所を散歩したり、電車のなかから柿の木に実がどっさり重くみのっているのを見かけます。鳥たちにつつかれていないところを見ると、渋柿なんでしょうが……。皮をむいて干し柿にするのも、秋の夜長の楽しみかもしれません。
上の写真はおなじみ西公園の、ではなくもう一つご近所の「中道公園」のさるすべりです。中道通りの端っこにあるのですが、「水の公園」の別名もあり、小さい公園ながら噴水で遊べるので、夏休みにはお子さんを連れた近所の方で賑わっていました。猿も滑ることから「さるすべり」ですが、木の肌はつやつや、お花も鮮やかな紅色と、何とも美人の精が宿っていそうな木です。

さて、今回のブログはいつもの新入荷のお品のご紹介ではなく、ちょっと趣向を変えてみようと思います。


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吉祥寺PukuPukuの器を使った本が出版されました。


「わたしの作りおきおかず」
瀬戸口しおり著(アスペクト刊)

 ……本のご紹介です。今月発売で、全国の書店やアマゾン(http://www.amazon.co.jp/)で購入ができます。

著者・瀬戸口しおりさんは中央線沿線にお住いで、以前吉祥寺のレストランで腕もふるっていらしたとか。
タイトルのとおり、「作りおき」した食材に簡単なアレンジを加えて美味しいおかずに、とたくさんのレシピが載っています。たとえば小松菜が安く買えたら、「ゆで青菜」にして、「肉入り煮びたし」「ゆで青菜の白あえ」「ゆで青菜のナムル」にそれぞれ変身させるという……。大体ひとつの食材を冷蔵で3日以上保存できるようにしています。
調味料も一般の台所にあるようなものばかりなので、活用しやすいレシピです。お料理の本を見ていると、つくってみたくても「そのハーブはちょっと高い……」とか「このスパイスこれ以外で使うかな?」と考えてしまってフラストレーションが溜まるのですが、このご本ではそんなことはなさそうです。

また、ご使用頂いたPukuPukuの食器も500円前後のお手頃価格のもので、こちらも拝見していて、「これがこんな風に使えるのか!」と驚くこともありました。

そして、掲載された器を一点、ご紹介いたします。


・青磁陽刻 流水に松と扇面図六寸皿 500円
(昭和戦前) 径約19cm・高さ約2.5cm
※完売しました

「わたしの作りおきおかず」に3回使って頂いています。
ちなみにメニューは「塩きのこのオムレツ」、「しめさばの酢の物」、「なかおちそぼろのはんぺんのはさみ焼き」。


絵柄は和風ですが、色合いが優しいので洋食とも相性の良い器です。
品の良い、主張しすぎないところが魅力ですね。


青い釉薬のしたから、梅のお花と格子柄の陽刻が浮かびます。お料理を綺麗にまとめてくれるデザインです。


裏側も薄い青磁がかかっています。


手頃な取り皿がなくて……とおっしゃる方には自信をもっておすすめいたします。


PukuPukuスタッフの昼食をのせてみました。結構大き目のサンドイッチですが、ぽん、とのせてくれています。
松の緑が野菜の色(ピーマンの緑やトマトの赤)をより鮮やかに。本のなかでもオムレツの黄色やしめさばのお肉の色とマッチしていましたよ~。


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お料理の本は、日々の食卓を考えるときもですが、ホームパーティーなど計画されるときにもご覧になるのではないでしょうか?お客様にたくさん用意したお料理をどんな器に盛ろう……と考えることもあるのでは……。
これからのパーティーシーズンに向けて、今までなかなかブログでお知らせすることがありませんでした、大きめのお皿を特集しようと思います。

・紙刷印判 見込みに鯉図尺皿 2,800円
(明治前期) 径約29cm・高さ約4cm
 ※完売しました

まずは座の話題にもなりそうな、鯉が見込みに入った尺皿(径が1尺=30cm程度の皿)のご紹介です。
見込みの鯉は一緒ですが、まわりの絵柄が違っています。



上は牡丹の絵柄、下は唐草に囲まれ、見込みに鯉がいます。
面白いことに見込みの絵柄は同じで、逆版になっています。


 裏側には、宝づくし(打ち出の小槌、七宝、丁子など)が三方に入っています。


見込みの鯉。まずは唐草との組み合わせのものから。
晴れやかなブルーです。


唐草もくっきり刷られています。お料理映えのする絵柄です。


こちらはまわりが牡丹のもの。
唐草のものより「藍」の印象が強い青です。


牡丹を上から見た絵柄と横から見た絵柄が交互に連続しています。
華やかで、大胆さを感じます。


牡丹の絵柄はほかの器でもよく用いられます。
取り皿に、同じ牡丹モチーフのなます皿をあわせてみました。
同じ明治前期の紙刷印判ですので、お揃いと考えて頂いて、テーブルの上に並べると綺麗です。
(1,000円 径約15cm・高さ約4cm)

カレーピラフやターメリックライスなどの黄色がはえそうです。チキンのオーブン焼きをのせても。

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・紙刷印判 三方にざくろ・桜・菊図尺皿 3,300円
(明治前期) 径約29cm・高さ約4cm
※完売しました

こちらも紙刷印判の尺皿。
お花がモチーフなので、大きさはありますが可愛らしい仕上がりです。


三方にざくろと菊、桜をそれぞれ2種ずつ白抜きの窓に配置しています。
まずざくろと菊の組み合わせ。


こちらはざくろと桜です。
桜の窓が五弁の花なのもにくいですね。


桜と菊です。
こちらの桜ともうひとつ上のざくろの窓になっているのは「雪の輪」といって、雪を文様化したもの。
涼しげなので夏の浴衣などにも使われます。

 

裏側には三方に梅の枝が。後ろにも花のモチーフ……。なかなかな取り合わせです。

表の絵柄、ざくろは、風水で桃・柑橘とあわせて「三柑の実」と呼ばれ、全て揃うと女性の全体運がアップするのだとか。このお皿の上に、タルトなどオレンジと桃のデザートをのせて女子会をすると良いことがあるかも?

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・染付 山水図尺角皿 3,800円
(明治前期) 径約32cm・高さ約5.5cm
※完売しました

最後に、見ごたえのある角皿を。
飽きのこない山水図と縁の菊図は、飾っておいても楽しそうです。
大皿は二客組でつくるものなのですが、長年の末ひとつになってしまうことも多く……。こちらは二客揃って出てきてくれました。


後ろはあっさり。明治前期らしい、勢いのある藍色が、白をひきたてます。


正方形の四隅をさらに角ばらせた八角形のデザイン。
スタンダードな角皿の形です。


入り江のあずまやの向こうにぼんやり帆掛け船……。
素朴な線描きの筆致が、見る人を和ませます。

ちょっとりんごをのせてみました。意外と深さがあるので果物かごとしても面白そうです。
こんなお皿にゴーヤチャンプルーをのせたい!とおっしゃった方もいました。確かに、炒めものなどざっくばらんなお料理にあいそうです。ちなみにゴーヤの代わりに春菊を使ってチャンプルーにしても結構美味しいですよ!
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 以上、大皿の特集でした。

実際にお料理の本を見ていても、明治前期の器の濃い藍色はどんなお料理とも相性が良いらしく、頻繁に登場します。陶器とも良い組み合わせになってくれます。
煮込み料理やオーブンで熱々のお料理がとにかく美味しい頃です。どうぞ器と一緒に食卓を楽しんでください。

次回ブログの更新は28日金曜、とうとう今月最後の更新です。今度は新入荷のお品物のご紹介を予定しております。どうぞお楽しみに。

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